まず最初の壁は運賃半額の壁でした。当初エアドゥでは札幌・東京間の運賃を
大手3社の半額を目指していたのですが、実際には事業基盤の脆弱性もあり、
60~70%に設定せざるを得ませんでした。経費抑制のための方策として、機材は
リースでの確保、搭乗券は昔のシール貼り付け方式、ボーディングブリッジは使わず
タラップで搭乗、機内での茶菓や飲み物サービスはなし、などかなり徹底したもの
でした。しかしすぐに大手は特定便割引という、エアドゥが運行している時間帯の
自社便をエアドゥなみの運賃で販売という露骨な対抗手段を打ち出してきました。
こうした競争の影響や、販売チャネルの脆弱さ、更にはマイレージ制度がないことによる
顧客育成の困難などが相俟って2000年にはかなり苦しい経営になってしまいました。
そして2001年9月におきたアメリカの同時多発テロが引き金となった乗客減少により、
ついに2002年6月に債務超過のため民事再生手続の開始となりました。

この経営破綻を境にパートナー会社を従来の日本航空から全日空に変更、同社の予約システム
に相乗りし、コードシェア便を設定するなど、販売チャネルも大幅に改善されたのです。
こうした再生策の成功により2003年には旭川/羽田線、2005年には函館/羽田線を開設
しました。そして同年には民事再生計画を1年前倒しで終了させることができました。

こうして現在に至ったエアドウですが、少し目先を変えて同社独特の機内サービスを
のぞいてみましょう。エアドウでは就航以来北海道の産品で機内サービスを実施して
きました。中でも長らく無料サービスされていたのが道産タマネギによるオニオンスープ
です。エアドゥの機内に入るとタマネギの香りがプンとして、おおエアドゥだ、と鼻が感知
したものです。現在はじゃがバタースープが楽しめます。また無料サービスで絶対に
他社便では味わえない飲み物があります。コアップガラナ。今や北海道人のソウルドリンク
とまで言われる(らしい)北海道産のガラナ飲料です。詳しくはのちほどご紹介するブログ
でご覧下さい。また有料サービスには北海道産ワインやビールの提供もあります。
ワインははこだてわいん「年輪ミニ」と十勝ワイン「トカップミニ」でいずれも赤、販売価格は
600円です。またビールは北海道でしか飲めないサッポロクラシックが500円となっています。
これらアルコール飲料にはショートチーズというおつまみがついていますが、有料販売の
「パスタ入り北海道産とうきびチャウダー」500円を取れば、エアドゥ機内は空の上のビストロ
に変身します。

そしてぜひご紹介したいのがエアドゥウエブサイトにある「AIR DO旅行記」という公式ブログです。毎回若手のWEBライターがエアドゥの就航地を旅するブログなのですが、
切り口が斬新で読みごたえのある旅行記に仕上がっています。写真も多く、旅する前の
参考資料としてもけっこう使えます。いや、旅先を決めるときにいいかも知れません。